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天使の杖コラム 素敵な宝物


見えない世界はワクワクに満ちている。
心を澄ませば、こんなにもたくさんのことが感じられる。
そして、見えないからこそ出逢える素敵な宝物がある・・

特別な場所じゃなく、普段の街がワンダーランドに変わります。
juriさんの“見えない街の歩き方”
街歩きの心のポケットに、ぜひ。

◆ ◆ ◆

 私は見えなくなってから、見えていた時よりも沢山のものや人に出会った気がする。
見えていた時もいろんなものに出会い、感激したり、感動してきたはずなのであるが、
今思えばどれも平凡な気がする。
 突然見えなくなり、環境が大きく変わったことで、考え方も感じ方も変化していった。
目で確認することが当たり前の世界で過ごしてきた私が、手や耳、鼻で感じられることに
気付いた時、私は喜びに出会えた。それは今までにないほどの喜びだった。
気付かなかった風景の美しさや色合いも噛みしめ、ひとつひとつを大事に心に刻みながら
丁寧に観賞した。今まで見えていたはずなのに、何を見てきたのであろうか?
人々の細かな動きや少しずつ変化する日常の流れも気に留めることがなく
そのまま過ごしていた気がする。
 私は1人で街を歩くだけでもどきどきする。そして、新しい発見があるかと
ワクワクする。誰かにぶつからずにちゃんと歩けるかどうか。それを確認しながら
ゆっくりと歩いて行く。前からはコツンコツンとヒールで歩く音。
後ろからはドタバタ走る子供たちの笑い声とおしゃべりする声。
風が心地よく吹き、木の葉がざわざわと揺れ、舞い散る音。
お店が並んでいる前を通ると、焼きあがったパンやコーヒーの香り。
様々なことを感じながら歩いていると、横から声がかかる。
「何かお手伝いしましょうか?どこに行かれますか?」
名前もわからない見ず知らずの方が声をかけてくださった。
いつも通い慣れている道だったけれど、一緒に歩いてもらった。
1人で歩く時とは違う感覚で、また、腕を持たせてもらって歩き始める。
多くは語らなくてもその人の温かさや親切さが伝わってくる。
こんな人の温かさにも、見えていた時は気づくことはなかった。
 今は目での確認は全くできなくなってしまったけれど、今まで気づかなかった方法で、
新しい発見ができるようになった。決して、耳や感覚が良くなったわけではない。
もちろん、道に迷ってしまい、スムーズに歩けない時もある。
それでも、見えなくなったことで、沢山の素敵な宝物をもらうことができた。
今まで気付かなかったことに気付かせてくれた様々な出会いに感謝したい。
(2019.01 by juri)


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