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もてなす心の奏でる極上の贅沢 京都迎賓館


あでやかに色づいた樹々(きぎ)の間をきらきらと撥ねる陽光。
12月とは思えないうららかな昼下がり、京都御苑を散策中に
迎賓館の一般公開してますという呼び込み?に遭遇。
参観料は一般1500円、障害者と介添1名は無料と案内書きがあったので
入ってみることにしました。
しかも館内は音声ガイドを聴きながら参観できるようになっていました。
障害者に嬉しいスポットです。

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【場所】
京都御苑敷地内、西側。
京都御苑には外周を取り巻く御門が九門あり、そのうち
乾御門、中立売御門、蛤御門、下立売御門の四つが西側、
今出川通と丸太町通に挟まれた烏丸通に面してあります。
その辺り(おそらく蛤御門辺り)の御苑敷地内を北から南に散策中に
左手に迎賓館がありました。
たぶん、地下鉄烏丸線今出川駅3番出口(今出川通沿い)または6番出口(御池通沿い)、
烏丸線丸太町駅1番出口、いずれからも10分ちょっとの道のりではないかと思います。

【参観方法】
時期によってガイドツアー方式と自由参観方式があるそうで、
料金も時期によって違うみたいです。
(私がいったときは自由参観でした)

【音声ガイドについて】
京都迎賓館のホームページに公式アプリの案内があります。
事前にダウンロードしていくと、館内にあるマーカー?を読み取って
音声・文字・動画で案内を聴く(見る)ことができるようです。
私はそんなこととは知らなかったのですが、当日受付で
アプリをダウンロードしたiPad?とヘッドホンの貸出を受けることができました。
借りられるのは便利で嬉しいシステムですが、操作がよくわからず同行のかたにやってもらったので
事前にダウンロードしておけば、ボイスオーバーで自分で操作もできていいかなと思います。
また、一人ででかけて操作もわからない場合には係の方にガイドしてもらうことも
可能だそうです(混雑時には無理を言わないのがマナーだとは思いますが)
この音声ガイド、見えていても見落としそうな細部にも説明が行き届き、
内容も奥行きが深いので、見える・見えないに拘わらず
利用されることをおすすめします。

【順路】
正面玄関
 靴をスリッパに履き替え(鍵付きロッカー)
 エレベーターで地下へ

地下
 受付
 荷物と白杖を預ける(必要な人には室内用杖の貸出があります)
 荷物は預けますが、携帯電話やカメラは持込・撮影OKです。
 館内紹介プロモーション視聴コーナー(4分程度)
 音声ガイド機器(iPad?とヘッドホンのセット)の貸出
 エレベーターで1階へ

再び正面玄関
 ここから、正方形の中庭を囲むように並ぶ、それぞれに趣向を凝らした部屋を参観

聚楽の間

夕映の間

藤の間

桐の間

廊橋(東西の建物をつなぐ渡り廊下が、庭園の池に架かる橋のようになっています)

地下
 荷物受け取り・機器返却
 お土産売場

地上
 ロッカーに入れておいた靴を履いて参観終了

レポート
とにかく贅沢です。
館内のすべてが最高級の素材と匠の技を尽くした設えとなっているのもさることながら、
一番感じるのは心の贅沢です。
随所に凝らされた趣向から伝わってくる超一流の“おもてなしの心”が心を打ち、
参観を終えて外に出てもしばらく現実に戻れないほどでした。
それもそのはず、ここは国公賓の接遇の場、つまり外国の国王や皇族、大統領などを
心を込めてお迎えし、日本の文化や歴史への理解を深めてもらう場として、
日本の象徴・京都に建設された、いわば日本一のおもてなしの場なのです。
開館は2005年と、重厚な歴史を持つ建造物の多い京都においては比較的新しく、
その分、磨き抜かれた伝統の技と最先端の技術の融合が本当に見事で
日本一のおもてなし空間を体感できること間違い無しです。
例えば・・(これ、書き始めると長くなりそうでためらっています)
夕映えの間のふたつの壁面装飾「比叡月影(ひえいげつえい)」と「愛宕夕照(あたごゆうしょう)」、
名前を聞いただけでも素敵で、私はそれだけでも酔ってしまいそうですが、
綴織で織られたタペストリー(といっていいのかな)は、日本画の下絵に基づいて
何百色もの絹糸から色を選び、織ったときの効果を検証し、何人もの織り手さんが
同時に織り進み、1年以上の歳月をかけて織り上げられているそうです。
夕映の間は、カクテルパーティなどのときには、
天井の照明を星空や蛍の光をイメージしたものに替えることもできるそうです。
この夕映の間は、お茶のおもてなしや晩餐会の待合として使われるために
イメージとして夕景がモチーフとなっています。そのほかの部屋も
それぞれの目的に最大限に寄り添った趣向が施され、設計や調度品のひとつひとつに感嘆し、
大胆な演出に驚嘆しながらも、見事な統一感が心の落ち着きをもたらし
幾重もの感動に包まれながら順路を進みます。
これらの情報の一部は、京都迎賓館のホームページでも公開されていますが、
やはりガイドを聴きながら実際に館内を歩くと感動もひとしおです。
次の藤の間には、幅16メートルもある圧巻の壁面装飾があります。
こちらも綴織で、部屋の名ともなっている藤の花を中心に、39種類もの日本の植物が
四季を問わず一同に咲き乱れる様は、なんとも言えず華やかかつ繊細です。
床には、まるでその壁面からこぼれ落ちたように、藤の花びらが舞う模様があしらわれています。
藤の花の花言葉は 「歓迎」・・。
その心憎い演出に、きっとお客様の笑顔がほころび、談笑にも花が咲くことでしょう。
部屋だけではなく、部屋と部屋をつなぐ部分も、釘を隠す装飾金具や
天井付近の欄間など、すべてに全体の調和と細部へのこだわりが感じられます。
どの部屋からも見渡せるよう設計された庭園は、見る方角によって、また四季折々、時々刻々に
表情を変える美しい絵巻物のようです。
その風景に一層の趣を添える雪見障子に「水陰が映っていますよ」と教えてくださったのは
館内スタッフのかたでした。
池の水面に照り映えた光が、ゆらゆらとした水紋の陰を障子に落とす幻想的な光のファンタジーは
いつも見られるわけではないそうですが、教えていただいたおかげでそんな天然の演出も
感じることができ、嬉しく思いました。
参観の最初、靴を履き替えて館内に入るところでも、清々しい木の香りを感じたので
スタッフのかたに尋ねてみると、杉板の香りだと教えてくださいました。さらに「館内では
畳の香りを感じるかたもいらっしゃいます」と言葉を添えてくださったので、
和室を通りかかったとき、その気持ちの良いい草の香りにも気づくことができ、
そんなところにも細やかなおもてなしの心を感じました。

一通りの参観を終えて地下に戻ると、入ったときには無駄にだだっ広く感じていた
地下の受付スペースが団体客で埋め尽くされていました。
時期や時間帯によっては非情に混雑するのかもしれません。
私のいったときはゆったり見られてよかったです。

この日、唯一猛烈に残念だったこと・・
それは私の格好。
なんと「ウインドブレーカー上下」だったんです(涙)。
「こんな格好で入って大丈夫ですか」と念を押す私に
「もちろんです」とスタッフのかたはにっこり微笑んでくださいましたが、
参観中、異物混入感(自分)がハンパなかったです。
誰かの写真に写る可能性もありますし、皆さま、
おでかけの際はちょっぴりおしゃれして、優雅な気分も味わいにいかれることを
おすすめします。
レポートしたのはほんの一部ですので、ぜひ一度は体感してみてくださいね。

(おまけ情報)京都御苑の紅葉
この日(2018年12月2日)は、御苑の紅葉がジャストの見頃でした。
ベストと思われるシーズンをやや過ぎているからか、御苑が広いからか
ほとんど混雑は気にならずのんびりと散策できました。
木の種類も、真紅に紅葉するタイプのモミジ、カラフルに紅葉するタイプのカエデ?、
黄金のイチョウなど色とりどりでした。
森のようになっている場所では、掌に、首筋に、足下に、見上げる空に・・
全身に紅葉を感じ、私もうららかな日の恵みに包まれる自然の一部になったみたいでした。
(2018.12 by yuki)

京都迎賓館 公式ホームページ(外部リンク)

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