天使の杖でおいでやす トップページへ戻る

“夏”な京都 千本ゑんま堂 風祭り


アクセス 市バス「乾隆校前」下車
期間 7月1日から7月15日
奉納金 お賽銭
安全度 高い
段差 少ない

夏な京都といえば、真っ先に思い浮かぶのが千本ゑんま堂の風鈴。
そんな千本ゑんま堂の思い出です。

 私は、京都といっても郊外に住んでいる。
実際に京都らしい夏を経験したことがなかった。
歩行訓練で京都のまちを歩き回ったあの夏まで。

 その日は、ライトハウスから千本上立売まで歩くコースだった。
車が行き交う音の方向と、歩行訓練の先生の足音を頼りに歩いた。
商店街では、店の前に出された商品に白杖が当たる。
狭すぎる歩道では、自転車をよけるために身を端に寄せなければならない。
涼しいはずの打ち水も、もわりとした湿気となり足元に絡まる。
左右にぶつかり、何度も立ち止まり、迷惑をかけないようびくびくしながら歩く。
いやな汗で身体がじっとり濡れてきた。
通り過ぎるたびに教えられるバス停の名前。
身体は、そのたびにうだるような京都の暑さを実感していく。
 「そろそろ限界なんですけど」。
そう言いかけた時、風鈴の音が聞こえてきた。
それは一つではない。
透き通った高い音、丸く甘い音、乾いた渋い音、氷がころがるような涼やかな音、
虫のさえずりに似たせつない音。
一つ二つ揺れていた音が三つ四つと重なり、強い風が吹くといっせいに揺れてハ
ーモニーになった。
 丸い陶器のもの、竹で作られた細長いもの、鈴のように小さいもの、レースみ
たいな細かな装飾がされたもの。
触らせてもらって、お堂の前は風鈴でいっぱいだということがわかった。
 風に運ばれてお香の匂いがしてくる。
しんとした境内に風鈴と蝉(せみ)の声。
じっとしていても汗はひかないのに、ひんやりと感じられる。
エアコンの部屋にいてはわからない。
夏な京都とは、このひんやりを感じてこそのものなのだろう。
 お堂の中から閻魔さまが見ている。
夜になるとライトアップされるそうだ。
夜のお祭りではお香の匂いも強くなって、ロマンチックな風の物語が見られるの
だろうか。
一つの風鈴に2人でそっと耳を傾ければ、閻魔さまもほほえまれるかもしれない。
 京都の夏は、ゆかたとうちわと下駄の音。
コンチキチンのにぎやかなお祭りもええけど…、
小さなお堂で巻き起こる気ままな風のお祭りを楽しむのも、
風情があっておつなもんどすえ!
(by moto)

千本ゑんま堂 引接寺 風祭り(外部リンク)
京都市上京区千本通蘆山寺上ル 閻魔前町34番地



☆このレポートは、メルマガ色鉛筆第132号「私たちの伝えることば 受け取ったことば」
に掲載され、視覚障害リハビリテーション研究発表大会in神戸2018 で多くのご来場者に配布されました♪

ページの先頭へ戻る
みんなのおでかけレポート集へ


1.トップページへ戻る
2.図のない京都図鑑(お出かけガイド)へ
3.お花つみガイド(お手洗い情報)へ
4.お役立ち情報玉くしげへ
5.杖休め茶屋へ