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まいまいデートシリーズ② 宇治川鵜飼ほか



え?シリーズって普通①から始まるものじゃない?

「普通じゃなくたっていいじゃない」
心の甘い囁きにのせられて、甘くスタートいたします。
7月に始動したこの企画。
でも第1回目のツアー参加後、どんなスタイルで書くのが一番いいかわからず、長く足踏み。
答えを見つけるのを諦めたときがスタート、なんてこともあるものです。
一番じゃなくたっていいじゃない。
二番から始めたっていいじゃない。

そんなわけでレポートはその2からスタート。
その2なので詳しい説明は省きますという適当なスタートです。

あ、せめて最低限は。
タイトルのまいまいというのは、京都で多彩な凝ったツアー企画をしている
「まいまい京都」のことです。
デートというのは、見えない2人組でお出かけしてみようと・・・、
それ以上のことはみなさんの想像におまかせします。

さてまいまいデート2回目の今回は、まいまい京都の
【宇治川鵜飼】屋形船を貸し切って食と鵜飼の舟遊び、女性鵜匠を訪ねて
- かがり火が川面に揺れる幽玄の世界、オモテもウラもご案内
というツアーに参加させていただきました。
まいまいのツアーは、毎回妬ましく思うくらいのキャッチ力で、
新しいコースが発表される度に出かけたくなるものばかりです。

ツアーは17時に京阪宇治駅改札前集合だったので、
それまで宇治を自分たち流に楽しむことにしました。
うまくいけるか、自信なんてない。
通常とは別の意味でドキドキのデートです。
きっとふたりでならなんとかなるよね。

●待ち合わせは電車の中
白杖の男女が左右からやってきて
車両の真ん中で出逢うのだから、見ていると
なかなかドラマチックかもしれません。
なんてのんきなことを言っている場合ではありません。
すれ違うと悲しいので緊張の一瞬です。
テン、テン、テン、テン テン テン
「おはよう」
「おはよう」
よかった、無事に逢えました。
出逢えるだけでとっても嬉しい・・
・・・ってすごい。いや、ヘン?

●優しさのリレー
まずどこかでランチしよ♪と車内で相談。
JR宇治駅から、ナビアプリを起動して向かおうとしたのですが、
ナビは「左に曲がる」と言った直後に「右に曲がる」
私たちを翻弄します。
(ナビさんも一生懸命だったとは思うのですが)
そこへ声をかけてくださる方が現れ、お店まで案内してくださいました。
ところがお店は満席、本日のランチは受付修了とのこと。
人気のお店と紹介されていたので仕方ないことだと思うのに、
「本当にごめんなさいね」と申し訳なさそうなお店のかた。
お忙しい時間に心のこもった声で対応してくださるだけで
温かい気持ちになれて、来た甲斐があったと思いましたが、
やりとりの中で別のお店をご紹介くださったばかりか、
丁寧に道まで教えてくださいました。
さらに、お礼を言って外に出ると、なんと先ほどのかたが待っていて、
次の目的地へも案内してくださったのです。
この日は日傘を相合い傘にしていても熱射にむしばまれるような、
38度を超える猛暑日。それなのに
「時間も場所も融通の利く相手と待ち合わせてるんです、大丈夫」
なんて気遣いにあふれる言葉で案内役を買ってくださるのです。
手を伸ばしても日傘の届かない日射しの中に
爽やかに輝く眩しい笑顔が感じられました。
ありがとうございました。

●心と身体に贅沢ランチ
そうして辿り着いたお店「食堂 山小屋」さんでは、
木の温もりと自然光が感じられる落ち着いた雰囲気の中、
運ばれてきたお料理に、この日何度目かの感動をあじわいました。
お箸を伸ばす度に、別のお野菜料理が口にやってきます。
クミンやコリアンダーの香る爽やかなスープ、ゴーヤの梅和え、
オクラとジャガイモのちょっぴりスパイシーな炒め物、
茄子の冷やし田楽、トマトの寒天寄せなど(違っているかもしれませんが)。
メインはお麩(ふ)のカツとテンペの照り焼きの2種類から選べたので、
ひとつずつ注文、シェアしていただきました。
気さくなお店のかたとお客さんのやりとりに興味を惹かれて
思わず話にお邪魔してしまう一幕もあり、
おいしくてヘルシーなお料理と寛いだ時間に、心にも身体にも
元気をいっぱいいただきました。
こんな素敵なお店に導いてくださったすべてに感謝。
ごちそうさまでした。

●世界遺産平等院でひんやり体験
さらに多くの方々に道を訊き訊き、私たちは平等院へ。
ホームページ作成のミッションをしょっている私としては
ここがとても残念に思うところなのですが、実のところ
どうやって辿り着いたのかよくわかりません。
ひとつ言えるのは、参道に入る手前に、へんな音の音響信号があること。
もしかしたら宇治のかたには変な音じゃないかもしれませんが、
京都市内とは鳥(カッコーとピヨ)が違うのか、鳴き方が違うのか、
なんとなく宇宙の鳥のような声です。
あ、それと帰り道に気をつけてたので合ってると思いますが、
JR宇治駅からここまでは、歩道に誘導ブロックが続いています。
その交差点を渡り、新茶の季節ではない8月にも辺りに漂うお茶の香りを目印に
参道をしばらく歩いていくと、道が二股に分かれているようでした。
左の道に入るとどんどん平等院から遠ざかってしまう(しまった)ので、
右寄りに歩くのがいいようです。
そうするといつの間にか平等院の敷地にはいれそうです。
(受付にいくには敷地に入ってから右に曲がったような)
オフシーズンと思われる真夏でもかなりの人なので、ここでは
道を訊くことも楽しみと捉えるのが一番の近道かもしれません。

平等院では、池の周りを探検したあと、入ってみたかった
「茶房藤花」でお茶をいただきました。
注文したのは宇治煎茶(冷茶)と、夏季限定の氷出し玉露。
それぞれ形の異なるワイングラスで一煎目が供されました。
どちらも小さな和菓子がふたつ、添えられています。
氷出し玉露は氷の張った水差しから氷ごと移して二煎目をいただき、
煎茶は三煎目まで味わえるとのことで、飲み終わった頃合いに
水差しが運ばれ、その都度時間を測って煎じたお茶を

グラスに注ぐスタイル。
お茶と共にゆったりと待つ時間も味わえました。
程よく空調の効いた広い店内に客はまばらで、
外の眩むような日射しと人群れから切り離された空間は
静かで心地よかったです。

お茶屋さんに寄り道しながら参道を引き返し、
またへんな音の信号を渡り、今度は宇治橋を渡ってツアー集合場所の京阪の宇治駅へ。
この辺りが駅かな?と思うのによくわかりません。
見えている気がするのに何の役にも立たない自分の目が
ふと悲しくなりますが、それは思わないことに。
躊躇い足をしていると、少し前に道を訊いて困り顔にさせてしまった
外国のかたがわざわざ引き返してきてくれて、道も言葉も
よくわからないだろうに駅まで道案内してくださいました。
気づいたらいなくなっていてきちんと伝えられませんでしたが
尊い優しさに心から「ありがとうございました」。

●共に生きる人と鳥 宇治川鵜飼
「たぶん、鵜という鳥が何か お魚を捕る」
鵜飼というものについて、それぐらいの知識しか
持ち合わせていなかった私(知識じゃないですね、これ)。
なのでこのツアーに誘われたとき、世界が広がる感じにわくわくしました。
そして今回の宇治でのたくさんの出逢いや感動につながる
はじめの一歩がそこにありました。

予定通り17時に開始されたツアーは、日暮れの頃に始まる舟遊びの前に
鵜匠の沢木万里子さんから鵜飼についてお話を伺い、その後
今年生まれた鵜の子どもウッティーちゃんを間近に見る時間もありました。
宇治市観光センターでお聞きした沢木さんのお話は、
ツアーの副題にあったとおり裏話満載。
「鳥が大好きでこの仕事に就きました。仕事が終わった後は
ビールに焼き鳥です」なんて茶目っ気を交えて話される沢木さん。
その声は、お写真のきりりと端正な雰囲気よりチャーミングで
親しみやすい感じでした。
「可哀想ですよね」ぽつりとつぶやきながらも
おとりを使って野生の鵜を捕まえる様子にも触れ、
歴史や全国の鵜飼の現状、今後の展望などを
わかりやすくお話しくださいました。
おもしろいと思ったのは、人工孵化で生まれた鵜は
全員ウッティーちゃんと名付けられるということ。
そうすると、「ウッティー」と一声呼びかければ全員が
反応してくれるのだとか。
沢木さんに見守られて生まれた鵜は沢木さんをお母さんだと思う
刷り込みの習性を活かし、将来は、綱で鵜をつながない
「放ち鵜飼」も目指されているそうです。
人工孵化が普及すれば野生脳を捕まえなくても済むし、と
言葉の端々から鵜に対する愛情の伝わってくるお話でした。

お話のあとは実際に、ボーリングのピンぐらいの大きさの
子どもウッティーちゃん(何代目か忘れました)に面会。
沢木さんに抱っこされて甘える様子がかわいかったです。

その後各自「お飲みもの」を購入し、いよいよ屋形船へ。
舟の中枢に据えられた長いテーブルを挟み、向かい合わせに着席すると
背中は舟のへりで、すぐそこに川面。
目の前には、人が乗り込む直前に配膳されたらしき
おいしそうなお食事が待っていました。
冷たい茶そば、あたたかなすまし汁、天ぷら、おかずいろいろ、
そして立派な竹皮に包まれた、名物の鰻いい蒸し。
(餅米と鰻がとてもおいしかったけど、竹皮にくっついた
おこわを手でこそげながら食べたので、ちょっとお行儀悪くなりました)
お隣や向かいのかたたちとも語らいつつお食事をいただくうちに
やがて始まった鵜飼。
鵜の声と鵜匠さんの声が呼応します。
舟べりをたたく音。
時折船客から起こるどよめきと拍手。
かがり火が眩しい光と熱を伴って
揺らぎながら頬を炙り、また遠のいていきます。
ツィーと音のない音を立てる、
エンジンを使わない屋形船で感じた鵜飼の様子は
ほとんどが音として伝わってきたはずなのに、
不思議なことに今、夏の夜風と共に思い出すその風景は
音声を伴わない幻灯のように静かに心に蘇ります。

そのどこか遠い物語のような世界に血のかよった温もりが
あったのは、沢木さんが鵜にかける励ましに、
本当に仲間や家族に接するような心が感じられたから。
「鳥が大好きで、鳥と一緒にひとつの仕事をするこの世界に
入ろうと思いました」
そう語られた想いは、実際に鵜飼にふれることで伝わってきました。
共にがんばり、共に喜ぶその姿からは
「鵜が可哀想」は感じませんでした。
可哀想かどうかは、きっとどんなときも、ハタで勝手に
決めることではない・・ですよね。

●最後に大事なオマケ
お昼に宇治に着いたときには見つけられなかった、
JR宇治駅前の茶壺ポスト、帰りにしっかりタッチできました。
わーい♪
これをせずに帰ったら絶対ガーンってなるのに
忘れかけてた私にそっと教えてくれた彼に。
駅までご一緒してくださり、解説付きでポストを案内してくださった
今回のツアーのナビゲーター・杉本さんに。
楽しかった今日に。
ご縁できたすべての皆様に。
本当にありがとうございました。

●もうひとつおまけ
ツアー後、彼から
「平等院の池のそばで、二人で見えないながら
一緒に風景をイメージしたのは、特別な時間だった」
とコメント。
そや。
見えないことは、決して悲しいことばかりじゃない・・

読んでくださった皆様ありがとうございました。
このシリーズ、果たして①や③はあるのでしょうか。
わかりませんが、どうぞあたたかく見守っていてくださいね。
(2019.8 by yuki & yoh)

〈関連リンク(外部リンク)とプチ情報〉
まいまい京都
まいまいとは、「うろうろする」という意味の京ことばだそうです。
京都の住民がガイドする京都のミニツアー「まいまい京都」では
毎月80前後ものバラエティ豊かなツアーが開催されています。
その道に詳しいかたのガイドで、見えなくても
心で感じる京都を楽しむことができます。
(一般向けのツアーなので、もちろんガイドさんは手引きガイドではない点は
ご了承ください)

●この日は満席でいけなかったけど、いつかきっといきたい薬膳料理のお店
 茉莉花(ジャスミン)

●オーガニック玄米菜食ランチのお店
 食堂 山小屋
ランチでいただいたテンペとは、
大豆をテンペ菌で発酵させた、インドネシア発祥の食品で、栄養価が高く
お肉の代わりのヘルシーフードとして注目されているそうです。
シリアルバーのような形状、ほくほくした食感でおいしかったです。

平等院


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