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残念!それはこの星のカケラ・・
大地を感じて農業体験 in まなざし農園



参加方法・アクセス情報 問い合わせ先

雨も嫌いじゃないけど、明日はSちゃんと収穫体験。
晴れたらいいなあ・・
そう祈りつつ、何度も同じ質問を繰り返す。
「アレクサ、明日の西舞鶴のお天気は?」
「雷雨でしょう」
そうして迎えた当日・・。

以下は、舞鶴市真倉地区で目の不自由な人を対象とした農園「まなざし農園」
を開設されたNPO法人視覚障害者支援ネット・チームまなざしの
機関誌13号(2022年7月発行)に掲載していただいたyukiの収穫体験記です。

◆ ◆ ◆

 去る6月26日、まなざし農園にて友人と収穫体験をさせていただきました。京都市内に住む私が農園のことを知ったのは、京都府視覚障害者協会から月に1度発行されている「点字京都」のメール版を音声読み上げで聞いていたときのこと。多様な形態で情報を届ける取組みが少しずつ広がり、文字を見ることも、点字を読むことも困難な中途障害の私もこうして情報につながることができるのは本当にありがたいことです。記事には、普段あまり訪れる機会のない京都府北部の地に豊かな自然を活かして開園された農園の様子と、そこは視覚に障害があっても受け入れてもらえ、自然に親しむことができるという内容が綴られていました。大地の息吹を映したような瑞々しい筆致に魅せられ、またそこに感じられるあたたかなまなざしに勇気づけられ、私もエアコンの効いた部屋を飛び出し、パソコン越しの遙かな地に自らの足で降り立ちたい、そこで見えない自分にどんなことができるのか、この手で確かめ、この心で感じてみたい。そう思い、申込先の番号を手繰りました。
 体験当日。西舞鶴駅まで迎えに来てくださったご夫妻の車で約10分。見えないながらも、風の音や鳥の声が空の大きさを、コトトン、コトトンと長く尾を引く列車の音がのどかな風景の広がりを伝えてくれます。この日収穫させていただいたのはジャガイモとサヤエンドウ。驚いたのはジャガイモの収穫の仕方です。「芋づる式」というように、茎を引っこ抜くとお芋がどっさりついてくるものと思い込んでいたのですが、実際には、引っこ抜くとほとんどのお芋が土の中に残留してしまいました。千本引きでガバッと引いたら全部「スカ」のような状態に軽くショックを受けていると、農園の方は事も無げに、これから土の中を手で探り掘り出すのだと教えてくださいました。頭の中のイメージが予想外の現実に塗り替えられるのは楽しいもの、そしてお芋を探り当てるのがまた楽しい!ほぐれた土を軍手の手で掻くと、指先がこぶし大の塊に遭遇します。少し力を入れてあっさり崩れてしまったら、それは大地のかけら。またもや「スカ」にがっかりですが、だからこそ「当たり」のお芋に出会ったときの喜びもひとしお。苦労や困難が喜びを一層輝かせる、見えないお芋掘りが見えない人生に重なります。軍手越しの感覚でも、これはお芋かな?と「当たり」の確率があがってくる頃にはすっかり夢中になり、隣に寄り添い一緒に一喜一憂してくださる奥様と、時の経つのも忘れて収穫を楽しみました。「いったん休憩しましょうか」の声を合図に、畑に隣接して設えられた東屋へ移動。全身で夏の暑さを受け止めた身体に吹く自然の風のなんと心地よいこと。収穫体験は、久しく忘れていた自然とのつながりを心と身体が取り戻す、とても贅沢なひとときでした。
 家に帰ると、わけていただいたジャガイモの袋の内がほんのりと湿っていて、そこで身を寄せ合っているのはつい今しがたまで大地に育まれていた命であることを実感しました。そして、私は毎日そうした大地の恵みをいただいて生きているのだということ、そこにはたくさんの方々のあたたかなまなざしが注がれているのだということも改めて感じ、姿勢を正し、自分の命を大切に生きたいと思いました。農園に関わる方々だけではありません。当日、京都から西舞鶴に向かう車中や西舞鶴の駅では、にこやかな駅員さんに大変親切にしていただき、慣れない土地への移動も安心して行えました。そうしたご対応の内には、改善の声をあげる取組みの積み重ねがあること、その取組みは今も多くの方々の思いに支えられていることもお聞きしました。
 少しずつ見えなくなっていく世界と自らとをつなぐ絆を、しっかりと結び直すことのできたこの度の体験。皆様に心から感謝を込めて「いただきます」。

◆ ◆ ◆

というわけでアレクサちゃん予報より私たちの日頃の行いがほんの少し
まさったようで、当日は空に流れるちぎれ雲が天然のシェードとなり、
私たちを強い日射しから守ってくれるなか、心地よく収穫体験が
できたのでした。
体験記ではお芋掘りに絞ってレポートしましたが、
生育中のお野菜の青い香りを感じながらその葉や実にそっとふれさせてもらったり、
動物や環境を傷つけずにお野菜を食害から守る工夫が
至る所に施されていたり、農園には感動がいっぱいでした。
また、収穫体験と合わせてチームまなざしの様々な取組みについても
ご紹介いただきました。
任意で賛助会員になると、その後毎月冊子やメール等、
各人の都合に合わせた形態で機関誌が届き、
お野菜の生育状況や府北部の視覚障害者向けイベント情報などを
居ながらにして身近に感じることができるようになります。
ぐんぐん生長するお野菜の描写に、次はいつ行けるかな?と、
わくわくする気持ちが日常にプラスされました。

★おまけのランチ情報★
農園のすぐ近くには「ゆるり」さんという、ハンディキャップのある方々が
働くカフェがあり、土曜の農作業日にはそちらで昼食をとることも
できるそうです。
が、私たちが訪れた日曜日は定休だったこともあり、
この日のお昼は西舞鶴駅すぐの「割烹あかつき」さんで
釜飯定食をいただきました。
■割烹あかつきさんの釜飯定食(1650円)
釜飯・造り・小鉢・天婦羅・汁・香の物
ホームページのお品書きに、釜飯はお時間が25分ほどかかります、と
注意書きがあったので事前予約して伺い、
食べ頃の釜飯をすぐに用意していただくことができました。
■あかつきさんアクセス
JR西舞鶴駅徒歩1分。
西舞鶴駅は改札が2階にあります。
1階におりて西口から外に出たあと、駅舎を左に見ながら
ロータリーの歩道を歩き、ロータリーから車の通りに出る
ちょうど角にあかつきさんの入口がありました。
(当日は親切な駅員さんがお店の入口まで道案内してくださり
とても助かりました)

★農業体験への参加方法
まずはチームまなざしの神田さん(090-3729-2061)に連絡して
参加したい旨を伝えると、日程調整のうえ、当日は
農園最寄りの真倉駅、または西舞鶴駅にお迎えに来ていただけます。
基本的に、毎月第1・第3土曜日を作業日として、地域の方々とともに
農作業をされているそうですので、そちらに参加させていただくのも
楽しそうです。

★京都駅から真倉駅・西舞鶴駅へのアクセス(注意事項あり)
京都から真倉・西舞鶴へは、ざっくりいうと北へ向かうJRでアクセスします。
乗る電車にもよりますが、西舞鶴まで特急で1時間40分程度です。
真倉のほうが一駅京都寄りですが、西舞鶴へは特急1本で行けるのに対し、
真倉は特急が停まらないので途中どこかで乗り換えることになります。
そのため検索すると全然違う路線上にあるように感じることがありますが、
位置関係はそんな感じです。
で、注意すべきは、京都から西舞鶴へ向かう特急は、2022年春のダイヤ改正以降、
ほぼ全てが全席指定となったことです。
それはつまり、切符を購入する際乗る電車と座席を選ばなくてはいけないということです。
しかも真倉は無人駅、西舞鶴は券売機でオペレーター呼び出しボタンを押し、
10分ほどの待ち時間のあとオペレーターと遠隔で対話しながら
画面に表示される座席から席を選ぶ・・という、見えないと非常に高い
(というか無理な)ハードルが待ち受けています。
実際には、体験当日は農園のかたが切符購入を代行してくださいましたが、
できれば体験の所要時間を事前に相談して、
出発前に帰りの切符も購入しておくのがおすすめです。

★農園問合せ先
NPO法人視覚障害者支援ネット・チームまなざし
理事長 神田昌胤(まさつぐ)さん090-3729-2061

(2022.9 by yuki)


★もう一度行きたい!が実現♪
今度は農園の収穫祭にお邪魔してきました!
お芋掘り 焼き芋 音楽交流・・ 秋の収穫祭は感動がいっぱい♪

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