天使の杖でおいでやす トップページへ戻る

第20話の続き

合戦だょ テンちぇるちゃん♪②


「テンちぇるちゃん」「テンちぇるちゃ~ん」「テンちぇるちゃぁ~ん」
「ハァ~イ、テテンチェルチェル、テテンチェル~♪」


それは他の鼠の3倍はあろうかという大鼠でした。
しかも他の鼠が四足で動き回っているのに対し、それは二本足で
立ちあがった姿で歩いてきました。
たまたまでしょうか、彼の前に飛び出してきた鼠の一匹を「邪魔だ」と
言わんばかりに蹴り飛ばし、ついには鼠達の最前列に立ったのです。
いかに大きいとは言え、テンちぇるちゃんに比べれば、膝辺りぐらいなもので、
彼女を見上げる形となりましたが、暫くも彼女を眺めた後には、その顔に
鼠とは思えない嫌な笑いを浮かべたのです。
「もうこの家には雛人形の奴らしかいないと思っていたんだがなぁ、よもや
こんな別嬪の天狗さんが出てくるとは思ってもいなかったぜ。」
「鼠が喋ったっ!」
雛人形達は目を剥いて驚いています。
声が聞こえたのは人形だけではなかったようで、テンちぇるちゃんも
「この鼠は見所がありそうね。」と思いました。
いえ、テンちぇるちゃん、考えるところはそこじゃないですからね。
大鼠は、驚きを顔に出している人形達を見て肩を竦めると、語り出したのです。
「そう驚くなって、俺は元々 人だったんだからな。
そうよ、この家の長男として生まれて、本当ならこの家を継いで何不自由なく
生きていけるはずだったんだからさぁ。
鼠の顔が、ますますと嫌な笑いを強めていきます。
「ところがよぉ、俺がちょっと自分の好きな事をしただけだってのに、あの
生け好かない親父や爺が俺を家から追い出しやがったのさ。
大変だったんだぜ、俺の物になるはずだった家も財産も土地も村の奴らも全部
弟の奴に取られちまってよぉ、こちとら明日の金にも不自由するってのに、
たまに金の無心にやって来てやっても、僅かの小遣銭で追い返しやがって。
まったく何さまのつもりだっての。
まぁ、俺も仲間とつるんで、いろんな事をしたんだけどよぉ、たまたま失敗して
死んじまったんだよなぁ。
そうして、長い間魂っての、よく判らない状態で漂っていたらよぉ、
ある時に素晴らしい力を手に入れる事ができたのさ。
この鼠達を操ることもその力のひとつなんだけどな。
この力で、俺を蔑ろにした家の奴らにひと泡吹かせてやろうとやってきたら、
なんと、家どころか村にすら人っ子一人いやしねえ。
まぁ、家にゃあ、この雛人形達が住んでやがったからよぉ、こいつらを追い出して
俺の家を取り戻そうとしただけなのさ。
だからさ、これ以上、俺の邪魔をするってんなら、本物の恐怖ってのを
味わう事になるぜ。
こんな鼠程度のものじゃない恐怖をよぉ。」
皆を小馬鹿にしたように、笑いを深める大鼠に向かって、男雛が一歩
前に出ました。
「思い出したぞ。
お前は、随分と前にこの家の権力を笠に着てやりたい放題の悪事を働き、
家の当主に放逐された男っ。
お前の為に、どれだけの者が迷惑を被ったか知っているのか。
放逐されたお前に、家の敷居をまたぐ資格などないわ。
早々に立ち去れぃ!。」
一時は壁際に避難していて、戦いどころの騒ぎではなかった人形達も、腰の刀を
再び抜き、手にした槍を大鼠に向けて構えたのです。
「けっけっけっけっ、身の程知らずとは、お前らのような奴を言うんだぜ。
天狗さん、あんたもこいつらの肩を持つのかい?。
だったら、容赦はしねえぜっ。」
言うが早いか、大鼠が両手を広げると、その身体から真っ黒な煙が昇り始めたでは
ないですか。
煙が抜けきると、大鼠は白目を剥いて倒れ、再び動く事はありませんでした。
同時に、大人しくしていた鼠達は、統制を失ったようにうろうろと動き始め、
一目散に家から逃げ出し始めたのです。
煙は、逃げ惑う鼠達の上で蟠ると、徐々に輪郭がはっきりとし始め、
やがてその本性を、悪鬼の姿を現わしたのです。
頭から幾本も伸びた曲がりくねった角、赤い瞳は縦に細まり、口からは
不揃いな牙が飛び出し、人のものと思えない長い指の先には、刃物と
見間違うほどの爪が伸びてきたのです。
「ひゃっはっはっはっはっ、どうだ、俺様の姿は、素晴らしいだろう。
これが俺が手にした、俺だけの力だ。
俺に逆らったことを後悔しながら死ねえぇぇぇぇえええぇぇぇ~!。」
天井を覆い尽くすほどに大きくなった悪鬼は、両手の爪を人形に向けて
突き出してきたのです。
「怯むな、弓を射よっ。」
随身の声に、兵たちが何本もの矢を射ましたが、いずれの矢も、悪鬼の身体を
突き抜けて天井に刺さるだけでした。
「ひゃっはっはっはっはぁ~。
実体のない俺に、そんな物が通用するかよぉ。
どれ、その美味そうなお雛様から喰らってやるぜぇ~。」
悪鬼の手がお雛様に迫った時、テンちぇるちゃんの声が響いたのです。
「シャイニング・テンチェーーールッ!。」
「ハッ」とその場にいた全員の目が、彼女を見た時、眩い光の奔流が部屋を
満たしました。
それは人形達には癒しと安らぎを与えましたが、悪鬼にはその力を削ぎ、
抗しきれない力で彼を抑え込んだのです。
「ぐわぁっ、なっなにが、なんだこの光は。」
顔を両手で覆い、光から眼を庇いながらうろたえる彼の姿は、みるみるうちに
縮み始め、本来の人の姿ほどの大きさになったのです。
『シャィニング・テンチェル、それは天使の力の根源でもある聖なる力を
天使の輪から放つ技だ。
その光は、清らかな魂を持った者に対しては癒しを与え、その力を回復させ、
逆に邪悪な魂を持った者に対しては、その力を削ぎ抑え込む力となるのだ。』
「なんだこれは、俺様がこんなものぐらいで、畜生めっ、お前から
喰らってやるわっ。」
光の奔流が収まり、再び雪洞の薄暗い灯りのみが光源となった時、
小さくなったとはいえ、人波の大きさを維持する悪鬼が、牙を剥き出しにし、
テンちぇるちゃんに目標を変えて飛びかかって行ったのです。
「テンチェル・パァーーーンチッ!」
黄金色に手を輝かせた彼女の右拳は、見事に悪鬼を捉え、その身体に大穴を開け
その穴を中心に悪鬼の身体は彼の断末魔とともに真っ黒な粒となり地面に
吸い込まれて行ったのでした。
『テンチェル・パンチ、それは聖なる力を拳に集め、一点に凝縮した力を
相手に叩きつけ、邪悪な魂を粉砕する技だ。』
そもそも、実態を持たない魂のみの悪鬼や悪霊は、聖なる力を持つ天使との
相性は最悪なのです。
肉体があれば、聖なる光を遮断することもできますが、ダイレクトにその力を
通してしまうのですから。
そして、テンちぇるちゃんは拳を高々と掲げ、言ったのです。
「正義は勝つ!」と。
人形達からまばらな拍手が巻き起こりましたが、皆なにかしっくりとこない様子で
囁き合っています。
「でもなぁ、もうちょっとなんとかなんなかったものかな。」
「そうだよね、『シャイン』と『パンチ』だけじゃねぇ。」」
「せめて『くっこのままでは、もはやあの力を使うしかないの・・・、だめよ、
あれは禁忌の力・・・。』とか、『まっまさか、その力っ、認められん、認めんぞ、
この俺がっぐあぁぁぁぁっ!』みたいな盛り上がりが欲しかったよね。」
あちらこちらで、こんな会話がヒソヒソと囁かれていましたが、
テンちぇるちゃんには丸聞こえだったようです。
にこやかな笑みを浮かべ、雛人形達の方に向いた彼女は、徐に
「シャイーーーン・テンチェルッ!(光量極大)」
を放ったのです。
辺りに、眩いと言うには控えめすぎる表現の光が溢れ返り、その場に居た全員が
「うわああああぁぁぁっ目がぁっ、目がぁっ!(注6)」ともはや世間一般には定番と
なってしまっているセリフを口にしたのでありました。
ですけど、なぜにテンちぇるちゃんまで目を押さえ叫んでいるのでしょうかねぇ。
キャーキャーと楽しそうに逃げ回る人形達を、笑いながらビカビカと輪っかを光らせ
追いかけるテンちぇるちゃんに、どこからともなく声が聞こえてきました。

(CMキャッチ)
「テンちぇるちゃん」「テンちぇるちゃ~ん」「テンちぇるちゃぁ~ん」
「ハァ~イ、テテンチェルチェル、テテンチェル~♪」

「天のお使い様、天のお使い様。」
はて、どこから聞こえるのかしら?と辺りを見渡しますと、人形達にも
聞こえたようで、同じように辺りを見渡しています。
「お使い様、お使い様、それに雛人形の皆さま、私はここにおります。
皆さまのおられる、この家でございます。」
家自体が淡く発光し、声に合わせて明滅し始めました。
「私もこの地に建てられてから、随分と長い歳月が経ちました。
住む者が居なくなってからは、そのまま命を終えるのもしかたが無い事と、終りを
迎えますのを受け入れておりましたが、いつの頃からか、雛人形様達に、私の
清掃、補修をして頂けたお蔭で、急激に状態が悪くなる事無く、命を保つ事が
できたのです。
ですが、このところの鼠の襲撃で、なんとか保っておりました私の土台も、相応の
被害を受け、もはや修繕してなどと言う限界を越えてしまいました。
既に家としての役割も終えたものと覚悟はできてはおりますが、心残りなのが、
今ここに住んでおられる雛人形様方の事。
雛人形様達が動くようになられましたのも、人にずっと大切にされ、愛情を持って
接せられてきた思いによって命を得られたもののです。
それらの多くの人が、雛人形様方に寄せられた愛情、大切な気持ち、憧れ、
優しい気持ちが私の中、この家の中に留まっているのでございます。
ですから、私が家としての役目を終えますと同時に、留めておりました
それらの思いも霧散してしまい、雛人形様方も元の動けぬ人形となって
しまわれますでございましょう。
ですから、今、まだ私が家としての命を保っております間に込められました
思いと一緒に、皆さまの魂も行くべき場所にお連れ頂ければと
思ったのでございます。
雛人形様方をお使い様に託しました後は、私があの鼠に取りついた悪鬼を道連れに
崩れるつもりでおりました。
それを、代わりに退治して頂いた事、感謝の使用がございません。
お願いばかりでございますが、お使い様のお力で、皆さまを行くべき所に
お導き下さい。
雛人形様方、本当に今日までありがとうございました。
私があの悪鬼に乗っ取られる事無く、命を全うできますのも皆様の
おかげでございます。
お別れは寂しい限りでございますが、皆さまが新しい場所でも、お元気でお過ごし
頂けますように、お祈りしております。
お使い様、何卒雛人形様方を・・・、何卒雛人形様方をよろしくお願いいたします。
言葉が終わると、淡く発光していた家もゆっくりと元の暗闇と静けさの中に
戻って行ったのでした。
その声が聞こえなくなっても、皆は暫くの間、身じろぎひとつしませんでした。
そんな中で、お雛様が口を開きました。
「そうでございましたか。
私もずっと内裏に座って、いろいろな人の事を見てきた事は覚えているのですが、
いつからこのように動けるようになったかはよく覚えていないのです。
確かに人がこの家から居なくなってからだとは思うのですが・・・。」
その言葉に、他の人形達も頷いています。
続けて男雛様が、テンちぇるちゃんに向き直りました。
「天のお使い様、今の話ですと、この家が無くなればどうやら我々も元の
動けない身体に戻ってしまうようでございます。
ですれば、天のお使い様のお力で、我らを行くべき場所に送っては頂けませぬか。
このまま家とともに滅びるのも道理でありましょうが、行ける場所が
あるのでございますれば、どうぞそこにお導き下さい。
静かに頭を下げる男雛に続いて、皆 深く頭を下げたのであります。
テンちぇるちゃんに否やはありません。
彼女は手にした箒を高く掲げると、聖唱を唱える前にいつもの杖に持ち変えました。
耳が赤くなっていますので、どうやら恥ずかしかったようですね。
改めて高く杖を掲げ、透き通る音色で聖唱を唱えたのでした。
「この地に在(おわ)されます神々よ、どうか神の子たるこの者の穢れ無き魂を、
御身の御手に賜られますようお願い申し上げます。
テテンチェルチェルテテンチェル~。」
彼女の聖唱は、屋根に開いた穴から天に向かって流れていき、それに応えるように
一条の光が差し込んできました。
その光は雛人形達の上に降りかかると、どんどんとその範囲を広げ、
テンちぇるちゃんはもちろん、部屋全体を、否、家そのものを包み込んで
しまったのです。
その光の中、皆の目の前に沢山の人が現れました。
彼等は、皆あまり綺麗でない着物を着ていますが、眩しそうにこちらを
見上げています。
その先頭で、白い羽織袴に縦に平たい帽子を被った男性が、紙飾りの付いた
棒を振ると、皆が手を合わせ頭を下げました。
そして家の中に多くの家具が持ちこまれ、人の生活が始まりました。
馬に腰かけた白無垢の花嫁さんがやってきて、その後ろから多くの婚礼家具や
花嫁道具が運ばれてきます。
庭を向いた部屋の中に雛段が置かれ、先程の花嫁さんと、歳かさの女性が
大切そうに、眩しそうに雛人形を飾っています。
庭から、多くの人が眩しそうに雛人形を眺めていき、子供達が雛段の前で
おままごとをして遊んでいます。
家の周囲に花が咲き、暑い夏が訪れ、大きな俵が次々と運び込まれ、野菜や果物が
軒先に積み上げられ、真っ白な雪が降り積もる光景が幾度も繰り返され、
家の中でも楽しい事、嬉しい事、悲しい事、怒りに満ちた事が幾たびも
繰り返されました。
当主と思える男性が、若い男を玄関から放り出し、指を突き付けて怒鳴って
います。
その後ろには、年老いた男性が同じように腕を組んで立ち、さらにその後ろでは
年老いた女性が、若い女性を労わるように慰めています。
放り出された男は、唾を吐き捨て、何かを怒鳴るような仕草で家とは反対方向に
走っていきました。
多くの村人が並ぶ中を、棺桶が運ばれていきます。
お包み(おくるみ)に包まれた赤ん坊を抱いた女性が、家族と伴に笑顔で
歩いていきます。
家の前で、黄土色の帽子と服を着た、大きな荷物と襷をかけた男性が、皆に万歳をされ、
敬礼をして歩いていきます。
雛人形の前では相変わらず子供達が遊んでいますが、年年人数が少なくなり、
年齢も高くなり、遊ぶ人の数も少なくなってきました。
そして、家の中に、若い人が少なくなり、いつの間にか老人ばかりと
なっていました。
家にやってくる人も、齢を重ねた者ばかりとなり、ある時、いつもと違う時期に
人形達が雛段に飾られました。
一体一体の人形を手に取り、悲しそうに見つめていく老婆に、同じように
齢を重ねた男性が肩に手を置き、こちらも悲しそうに頷いています。
それを合図に老婆が手にしていたお雛様を雛段に座らせ、振り返り振り返り
部屋から出ると、最後に雨戸が閉ざされ、顔を覆ってしまった彼女の姿を
その向こうに隠しました。
どのぐらいの年月が経ったのでしょうか、変化のなかった家の様子の中、
ひょっこりと雛人形が立ちあがったのです。
身体を解すように両手を上げて背中を伸ばしていると、他の人形達もわらわらと
動き始めたではないですか。
お雛様と三人官女、五人囃子は着物を襷がけにし、それぞれの女官、楽隊を率いて
家の中を掃除して回っています。
男雛様と随身もそれぞれの兵を出し、自分たちにとっては巨大と言ってよい
木材を運び、金づちやのこぎりを両腕に抱え、家の補修をしています。
そして、壁のあちこちに亀裂が入り、埃の積もっていた家が、みるみる内に元の
美しさを取り戻していったのです。
毎日家の中を見周り、清掃を行い、雛人形の笑い声が絶える事はありません
でしたが、そんな家と雛人形の穏やかな暮らしも、やがて終りを告げる事と
なったのです。
ある日、一匹の鼠が家の前に現れました。
その鼠は壁に穴を開け、中に入ってきましたが、気が付いた随身達が
簡単に追い出しました。
が、それで諦めた訳ではなく、鼠は日に日に数を増し、あちらこちらに穴を開け、
毎晩襲撃してくるようになったのです。
ある時、戦っている最中に、天井を貫いて屋根の一部が落ちてきました。
鼠が屋根を齧り落としたのです。
人形に巻き込まれた者はいませんでしたが、多くの兵が巻き込まれて消えて
しまいました。
そして、段々と形成が人形達に不利になっていく中、空を飛ぶテンちぇるちゃんを
見つけた家が、必死に呼びかけたのでした。
光の中、見えていた映像が消え、元の部屋の様子となりました。
「今のはこの家さんの記憶だったのですね。」
その声に反応して、皆が彼女に向き直りました。
「改めて天のお使い様にお礼を申し上げます。
知らなかったとは言え、我らをこの家が育み、見守って頂いていたとは。
この家にも、今日までの事、我ら一堂、お礼を言わせていただきたい。」
そしてさらに深く頭を下げる人形達の輝きが増し、彼等どころか
家そのものが金色の輝きを放つようになり、温かな光の粒となった彼等が
テンちぇるちゃんの周りを優しく巡りながら、天に向かって昇って行ったのです。
その光が消えた後には、床にそれぞれの姿勢で人形達が残っていました。
もはやそれまでの活き活きとした様子は見られず、元の人形に戻ったようです。
彼女はそんな人形達を手に取ると、一体一体を雛段の上に並べていきました。
やがて満足のいく出来となったのでありましょう、ひとつ頷くと、彼等の魂が
昇っていった屋根の穴から外に出たのですが、彼女が外に出て暫くもすると、
それを待っていたのでしょう、家が大きく震え、地響きとともに土煙を立て、
崩れていったのです。
ひとり、悲しそうな表情となったテンちぇるちゃんでしたが、指を絡めて
祈りの言葉を捧げると、明け始めた空に戻って行くのでありました。

「注釈」
○注1、随身(ずいしん) : 随臣とも書きますが、お雛様達の護衛で武器を
携帯しています。
左随身が年長者で、右随身が若い随身です。
左の方が上司?となります。
童謡の「楽しい雛祭り」では、左大臣、右大臣と歌われていますが、これは
作詞者さんの間違いで、左大臣と言えば現在の総理大臣に当たる役職となり、
護衛の役に当たる事はありませんのです。
後年になって間違いに気付かれたようですが、時すでに遅く、歌が広がって
しまっていたため、訂正ができなかったと悔やまれていたそうです。
○注1、男雛 : 天皇陛下を現した人形ですが、あくまでもお雛様が
主人公ですので、それに合わせて男雛と呼ばれます。
随身と同様に、「楽しい雛祭り」ではお内裏様と呼ばれていますが
内裏とはあくまでも建物や天皇陛下が居住執務をされる場所、建物を言いますので
これも作詞者さんの間違いだったそうです。
後年になって(中略)、訂正ができなかったと悔やまれていたそうです。
○注3、有名なネズミ : 世界中に遊園地型前線基地を要するネズミー帝国の
ミッキーネズミです。
勝手にその帝国のキャラクターを書いたりいたしますと、個人商店の看板で
ありましょうが、小学生の卒業記念壁画でありましょうが、黒いミッキーが
やって来て、消すか正当な著作権料を払うかの二択を迫られるそうです。
もし拒否しました場合、かつて中国で作られました「偽ネズミーランド」を
思い出しますれば、その後は想像できますよね。
くわばらくわばら。
○注4、白い大鼬 : 東京ムービー制作の「ガンバの大冒険」の敵キャラ
「ノロイ」と呼ばれる白い大鼬です。
あの漫画「潮ととら」の白面の者は、作者の藤田先生が「ノロイ」をイメージして
描いたと言われるだけのキャラ描写がされていました。
東京ムービー独特のタッチと相まって、アニメ界最凶のキャラだと思います。
白組制作の「ガンバと仲間たち」は画面を見た事がありませんので、違いが
よく判りません。
声を野村萬斎さんが当てておられ、声やセリフ回しが、とても良かったのね♪。
「のぼうの城」での私のイメージから「小太りの人?」と聞きましたところ、
姉様に、黙って殴られました。
○注5、某ロボット : 機動的な戦士 ガンダルです。
ルとムってなんとなく形が似てますよね。
察してくださいなの。
○注6、目がぁっ! : もちろんスタジオジブリ制作「天空の城 ラピュタ」の
ラストシーンで、「バルス」の閃光を浴びたムスカのセリフですね。
ちなみに、朝遮光カーテンを開けられました時にも、このネタは使えますョ♪。

第20話 お・し・ま・い・♪。
(2022.03 by HI)

◆◆◆

幼き日、飽かず眺めたお人形たち。
白磁の肌に墨で描かれた切れ長の目と、ふっくらと小さな唇。
艶やかな黒髪に挿されたかんざしに幾筋も揺れる金の花。
漆塗りの調度品に施された緻密な螺鈿細工・・。
二度とこの目で見ることはない彩りが、合戦という非日常に伴われて
鮮やかに蘇り、脳裏を乱舞します。
その切ないほど目映い光景を心に描きながら、私は思います。
ああ、私が眺めたお人形たちも、幼い私をじっと見つめ、
見守ってくれていたのかもしれない・・と。
そしておそらくもう何年も、押し入れの片隅で出番のない春を
重ねているのであろう実家のおひな様たちも、どうか
心穏やかなときを過ごしていてくれますように・・と。
遠く届かない、でもかけがえのない思い出の埃を払い、
正座して感謝を伝えたい気持ちになる、そんな今回のお話でした。
テンちぇるちゃんのストーリーは今回、第20話という
節目の数を迎えました。
当初は1年、12話のお話を想定してスタートされたそうですが、
テンちぇるちゃんもおひな様同様、私たちを見守り、愛される
存在として、自らの意思で歩き出し、枠を飛び出したのかもしれない。
ふとそんなふうに思いながら、悪鬼となって苦しみながら
消えていくしかなかった魂にも祈りを捧げているのだろうと、
ラストシーンの優しさに心を重ねました。
いつの間にか必殺技を身につけたテンちぇるちゃんの活躍、
これからも楽しみにしています。
HIちゃん、ありがとうございます!

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