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特別企画 レポーター養成講座01

100人の僧侶が一斉に読経 智積院



 皆さんは智積院というお寺を知っておられますか?恥ずかしながら私自身、
この智積院にお勤めの方と知り合うまで、その存在を知りませんでした。
しかし、訪れてみてびっくり!100人の僧侶が一斉に読経する場面など、
思いがけないシーンをいくつも目の当たりにしたのです。
(2019.2 by moments)

写真1
大書院の大広間
写真1
障壁画レプリカと解説を行う僧侶
〈目次〉
1. いざ、智積院へ
2. 圧巻の光景がそこにある!
3. 心に残る画家・長谷川親子の障壁画
4. 冬の名勝庭園は少し残念かも?
5. 予備情報あれこれ
6. 基本情報

■いざ、智積院へ!
 訪問したのは、まだまだ寒さ厳しい2月14日、14時ごろ。
この日に訪れた理由は、お釈迦様が入滅された2月15日の前日に当たり、
二日間にわたって常楽会(涅槃会)という年に一度の特別な法要があると
お聞きしていたからです。知っておられる方も多いと思いますが、
お釈迦様の場合一般の人のように「亡くなった」とは言わず、「入滅した」
あるいは「涅槃に入った」と言われます。
 京都駅より、お客さんがまばらの市バス208系統に揺られること12分ほど。
東山七条のT字路交差点突き当りに、智積院はあります。京都市内、
碁盤の目状の主要な通り正面にあるのは、ここ智積院の総門と、
八坂神社西門だけなんだとか。ただ、この総門、大玄関を使えるのは、
ご住職など一部のお偉いさんのみに限られるとのこと。
東山七條南東側バス停下車、徒歩5歩で正面入り口に到着です。
白杖こつこつ、石畳の道を少しのぼればすぐ左側に受付があります。
 幸いにも、この日私は冒頭に述べた知り合いの僧侶の方に、マンツーマンで
智積院内を案内していただくことができました。取材の趣旨をご理解くださり、特別です。
法要があるため、彼は木蘭の法衣を身に纏い、手には扇子と数珠を持っておられました。
視覚障害者単独、あるいは複数名で訪問する場合も、手引きや言葉による説明は
不可能ではないということなので、事前に智積院へ問い合わせてみてください。
 智積院の総敷地面積は約3万坪。その半分ほどが伽藍など、文化財に当たります。
今回、説明を聞きながらじっくり見て回り、1時間半ほどかかりました。
歩く道はだいたい石畳。伽藍の出入り口に細かい2、3段の階段がよくあるものの、
それ以外に目立つ段差はありません。視覚障害者単独でも歩けないことはないけれど、
ガイドの人がいる方がより安心といった感じです。

■圧巻の光景がそこにある!
 今回の見学でもっとも衝撃的だったのは、常楽会の法要です。
ほかのお寺でいう本堂に当たる、金堂という一番立派な伽藍で行われていました。
建物に近づくと、中から読経が聞こえてきます。
常楽会一日目であるこの日行われていたのはお逮夜法要で、お釈迦様の遺言を基にした
『佛遺教経』を読誦しています。すでに15時から始まっていて、失礼ながら私は中盤に
入らせていただき、部屋の後ろの方、一般の参列者席に着席しました。
少し足元が寒く感じられます。広々としたお堂にかなりの数の僧侶がいて、一斉に読経しています。
あとで聞いてみると、だいたい100人はいたというのですから驚きです。読経は非常に特徴的で、
よく耳にする棒読みのものとは違い、一音一音に抑揚があります。歌とまでは言えないものの、
『かごめかごめ』や『通りゃんせ』に似ているような気もします。お釈迦様の遺徳をしのび、
感謝の気持ちを捧げている、けれどどこか寂しげです。
 法要が終盤に入ると読経はがらりと雰囲気を変えます。キーがどんどん上がり、僧侶の発声も
だんだん絶叫に近くなります。音階で言い表すなら、1オクターブ近く上がっているでしょうか。
あちこちから聞こえる声が一つの読経としてお堂全体に響き渡り、反響し、圧巻の光景です。
若い男性の声はよく出ているものの、中には高いキーが出ず声が裏返ったり、音を外したり、
「ゴホゴホッ」とむせている方も。まるでお経自体が生き物のようで、心を奪われました。
お釈迦様の入滅を悼んでいる、悲しんでいるというようにも感じられます。
法要は1時間半近くかかり、16時30分前にようやく終了となりました。
 智積院では、一年を通したくさんの法要が行われており、そのほとんどに
無料で参列できます。その中でも特にこういった抑揚や迫力のある読経を聞けるのが、
この2月14・15日の常楽会です。
智積院のホームページで各法要の日程をチェックし、ぜひ行ってみてください。

■心に残る画家・長谷川親子の障壁画
 ほかにも智積院の特徴として、収蔵庫に保管されている障壁画があります。収蔵庫の中へ入ると、
暖かく、木のぬくもりが感じられます。一瞬、“小さな体育館?”と思ってしまいました。
桃山時代の障壁画がガラスケースの中ではなく直接展示してあるため、温度湿度を一定に
管理しているそうです。壁一面に襖絵がはめ込まれ、部屋全体をぐるりと取り囲んでいます。
中でも特に、長谷川等伯とその弟子たちにより描かれた『楓図』、等伯の長男・久蔵の作である
『桜図』は国宝であり有名です。私にとって一番印象的だったのは『桜図』。
残念ながら絵にはふれられず、少し距離もあったのですが、桜の花びらの白さは際立っていて、
弱視の私にもよくわかりました。基本的に暗めの金色や緑色の多い襖絵の中、桜の花びらだけが
ぽーっと浮かび上がっているようです。白い部分には胡粉といい、牡蠣の殻が使われていて、
当時としては斬新で、優れた技術なのだそうです。時代を超えて人の心に残ることをするには、
前例にとらわれず新しいことに挑戦する、バシッと描いてみることも大事なのだろうとしみじみ考えました。
この収蔵庫には、絵の音声解説もあります。実は2023年、弘法大師空海の生誕1250年を記念し、収蔵庫は新たに
展示収蔵庫としてリニューアルが予定されているとのこと。今の状態で観賞できる期間はあと数年です。

■冬の名勝庭園は少し残念かも?
 智積院のもう一つの特徴が、大書院に隣接する名勝庭園です。大書院に上がると、ほのかに
お香、畳、木の香りがしています。大広間に入ると、左側の壁には収蔵庫にあった絵画のレプリカが、
右側は直接外とつながっていて縁側から庭園が望めます。収蔵庫のものとは違い、
ここにある複製された絵画は色鮮やかで松の緑色、池の青色などがはっきり見てとれます。
間近で見ることができるものの、これまた触れてはいけないとのこと。(ガーン)
 気を取り直し、反対側に見えるのは国から名勝に指定されている庭園です。
こちらは江戸時代前期にできたもので、中国の廬山をかたどってつくられています。
何となくしか見えませんが、さまざまな形の岩が段々に積み重なっている雰囲気です。
利休好みの庭と言われているものの、正確には利休が亡くなったあとにつくられたため、
実際には訪れてないんだとか。
 庭園は池泉式。……ん?っておい、池の水が抜かれているやないか!聞けば、この冬の時期は
庭の修復工事のため水を抜いているんだとか。頼みの綱の滝の音がー……。
当然、庭園に足を踏み入れるわけにもいかず立ち往生。少し離れた場所にある伽藍から、
カーン カーンと鐘の音だけがむなしく鳴り響いていました。「残念でした」と言われているようで、
少し悔しい気もします。ここ名勝庭園にはリベンジとして、ぜひまた別の季節に来てみたいものです。
このエリアは写真撮影OK。
 その後、宸殿・大玄関・講堂と順に巡りました。これら伽藍は渡り廊下でつながっていて、
小さい中庭もあり、ダンジョンのようです。各部屋に襖絵や屏風絵が飾られています。
あれ?ここって美術館でしたっけ?講堂は外観も大きく、部屋も広々としています。
ここでときにはイベントや法事が行われています。

■予備情報あれこれ
 見学の最後に、視覚障害者にも体験しやすい、智積院の一般向け行事・講座について尋ねてみました。
毎月12日に開催されている『阿字観会』、6月15日の『青葉まつり』、8月1日の『暁天講座』、
中秋の夜に行なわれる『観月会』などは特に、瞑想体験や耳で味わえる法要が多く、お勧めです。
 また、智積院では毎朝僧侶全員でお勤めをされていて、一般の方も宿坊に泊まり、
勤行に参加することができます。実は、宿坊智積院会館は現在リニューアル中で、
2020年夏ごろのオープンを予定しています。
 境内には、枝垂桜、梅、サツキ、ツツジ、アジサイ、桔梗、モミジなど、四季折々の花が咲き、
金堂の裏手は鶯の隠れスポットでもあります。
 智積院は、真言宗智山派3千の末寺を束ねる総本山であり、案内してくださった方によると、
「僧侶の出入りが多い、動きのある寺」だと言います。たくさんの僧侶が全国から集まり
修行に励んでいて、特に7月下旬から9月の夏の時期には、境内のあちこちから読経が聞こえてきます。
 智積院はその名のとおり、元々他宗派の僧侶や一般の学徒も出入りする学問寺でした。
歴史や絵画、お庭好きの方、いろいろ学べると同時に楽しめること間違いなしです。
あわただしい日常を忘れぼーっとしたい方、自分自身を見つめ直したいという方も、ぜひ訪れてみてください。
自分の中の新たな扉が開くかもしれません。


〈基本情報〉
真言宗智山派 総本山智積院
〒605-0951
京都市東山区東大路通り七条下る東瓦町964番地
電話番号:075-541-5361
URL:http://www.chisan.or.jp/
アクセス:
・JR京都駅よりバス約10分 東山七条バス停下車すぐ
 (京都市バス206・207・208系統)
・京阪七条駅より徒歩約10分

拝観受付時間:午前9時〜午後4時
休館日:12月29・30・31日
拝観料:
 一般 500円
 身体障碍者手帳所持者 本人無料 同伴者は一般料金
 高校生 300円 中学生 300円 小学生 200円
 団体割引(20人以上) それぞれ50円引き
収蔵庫、講堂、大書院、名勝庭園、宸殿などが有料拝観
それ以外のエリアは参拝無料
参拝者用無料駐車場 有り

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