天使の杖でおいでやす トップページへ戻る

大天使様だょ テンちぇるちゃん♪


「テンちぇるちゃん」「テンちぇるちゃ〜ん」「テンちぇるちゃぁ〜ん」

「ハァ〜イ、テテンチェルチェル、テテンチェル〜♪」

 今テンちぇるちゃんは一本の糸をゆっくりと降ろしています。
その緊張に満ちた表情には、誰もが息を止めて見入ってしまうことでございましょう。
彼女はこんなお話を一救和尚から聞いたのです。
昔、あらゆる悪事に手を染めた男が地獄に落とされました。
それは己のした事の結果であり仕方のないことだったのですが、男は唯一、
クモを助けるという僅かばかりの善行をした事がありました。
その善行に免じて、天はクモの糸を垂らし、男に地獄から抜け出すチャンスを
与えたのです。しかし男は自分が地獄から抜け出すことしか考えられなかったため
そのチャンスさえ失ってしまったというお話でした。
テンちぇるちゃんは思ったのです。
悪事を行うことは決して許されない事なのでしょうけど、どんな悪人でも
その人生で一つや二つぐらい善行を行ったことがあるはずです。
そんな僅かばかりの物事にも目を向け、ただ助け出すのではなく
チャンスを与えるというのは、なんと素晴らしい考えなのでしょうかと。
そして今、彼女はそれを実践しているところなのです。
ゆっくりゆっくりと糸を垂らしていきます。
まだまだ未熟な彼女には糸だけを真っ直ぐに下ろすということができませんので
糸の先には小さな錘を付けてあります。
そっとそっと地獄の底に向けて糸が下りていきます。
急いではいけません、地獄の罪人がその糸をしっかりと掴んだとしても、
糸が激しく動いたとすれば、驚いて手放してしまうかもしれません。
一筋の汗が彼女の額から流れていきます。
そしてついに、目的としていた地獄の罪人がその糸を掴んだのです。
手ごたえを感じながら糸を引き上げようとしたまさにその瞬間、なにかが
彼女の腰に触れたのです。
いえ、触れたというより、トントンと叩かれたと言うのが適切でありましょう。
果たして極限の緊張にある者にそんな事をすればどのような事態が発生するかは
今更言う必要もないでありましょう。
彼女の動きに合わせて激しく動いた糸を手放し、持ち上がりかけていた罪人は
再び地獄の底に戻ってしまったのです。
もう少し、もう少しだったのに、テンちぇるちゃんの悔しさは如何ばかりでございましょう。
強く口を噛み締め、縁の下から上半身を抜き出すとともに、
腰を叩いたであろう相手に向かって声を上げたのです。
「もうっ、誰よっ!、もう少しで釣れるところだったのに、
 逃がし・・・ちゃっ・・・たのでございました・・・、エヘ♪・・・。」
最初の勢いはどこへやら、相手を見た途端、彼女の言葉は尻すぼみに萎んでいったのです。
彼女の後ろには、逆光となった上に、暗い縁の下から出たばかりの目には
シルエットとしか見えない相手でしたが、細革で編み上げたサンダル、
彼女の衣装にも似た白い薄衣、なによりその背中には翼が折りたたまれていました。
それも4枚。
そう、テンちぇるちゃんと同じ天使ですが、翼を4枚持つのは大天使の証なのです。
見習い天使から見れば、文字通り雲上の方に他なりません。
その大天使の眼鏡が太陽光を受け、キラリと光りました。
その一瞬見えたレンズの奥の目は、絶対零度のビームをテンちぇるちゃんに
放っているかのようでした。
「貴方はここでいったい何をしているのかしら。」
あらゆる者を畏怖とともに凍りつかせるソプラノボイスが鼓膜を震わせます。
「それにいつまで四つん這いでいるのです、確かこの国ではそのような姿勢で
 挨拶をする習慣もあるようですけど、それがこの国の作法なのかしら。」
その声は、明らかに女性のものでした。
大天使で女性と言えば、彼女しかいません。
大天使ガブリエル、数多の大天使の中でも、上位に位置する大天使です。
「なんでガブリエル様がこんな所に・・・。」
さすがのテンちぇるちゃんもパニック寸前です。
「で、貴方はそこでな、に、を、し、て、い、た、の、か、し、ら。」
その声に思わず直立不動の姿勢となり
「あの、ジ、地獄から罪人を救い出す練習をしていたのでございますのでありますのです。」
テンちぇるちゃん、ちょっと言葉がおかしいですよ。
「ほぉ、地獄から罪人をですか。」
「あの、この国には罪人の僅かな善行を認めまして、地獄から救い出すチャンスを
 与えるという話がありまして、あの、それに感銘を受けまして、あの、その・・・。」
「なるほど、それは興味深い話ですね。
 では、その地獄がそこの建物の下にあると。」
「いえ・・・、あっあの・・・、その・・・、エヘヘ・・・。」
テンちぇるちゃんが、笑顔でごまかそうとしたところ、ガブリエルさんの後ろから
底抜けに明るい声が聞こえてきました。
「あ〜、なるほど、さっき言っていたのはアリ地獄釣り(注1)のことだったのか。
どうやらガブリエルさんの陰になっていて、もう一体の天使がいることに気がつかなかったようです。
彼女が身体をずらすと、そこには金髪に緩くウエーブのかかった
ショートヘアーの青年が、なるほどと握った手を片手の掌で受け、
笑みを湛えていたのです。
「あっ、糸を直接指で摘んでいるみたいだけど、細い木の棒に結んでやった方が
 アリ地獄が糸を引っ張る手ごたえが楽しめて面白いよ。
 今度試してみてよ。
 そうそう、糸の両端に錘を付けて、トンボの前に飛ばしてごらん、
 錘を虫と間違えたトンボに糸が絡んで捕まえることができるよ。
 でも、やっぱり虫捕りならカブトムシかクワガタムシを捕まえたいよね。
 ほら、夕方に山に行って、ハチミツや砂糖水を木に塗っておくと、次の日の朝に
 いろんな虫が集まっていて、いっぱい捕まえられるんだよ。
 ここだけの話だけど、バナナを使えば幾らでも虫を集めることができて、
 もうウハウハ状態になるって知っていた?。
 あっ、これは私の秘密のやり方だから内緒ね、ガブリエルも喋っちゃダメだよ。」
ガブリエルさんのこめかみがヒクリと動きました。
「ご安心を、私は虫には興味がございませんので。」
そんなやり取りをテンちぇるちゃんは上の空で聞いています。
後ろにいた天使も見たことがありますというより、彼を知らない天使など
居はしないのです。
彼女も直接見たことと言えば、入学式で演台からお話をされた時だけなのですが、
その時は、数千人規模の講堂の後ろの席だったので豆粒ほどの姿を見ただけでした。
ですが、天使ブロマイド(注2)の年間売り上げ枚数は、毎年ダントツの一位ですし、
直接見たことがなくても、そのお顔を知らない天使など存在しないのです。
かくいうテンちぇるちゃんも、ブロマイドを何枚か持っていたりしますし、
キョウちゃんなんかは全てコレクションしていて、頬を染め溜息をつきながら
ブロマイドアルバムをめくっているところを見られた時の慌て鰤が、
とても可愛らしかったりいたします。
ミヤちゃんは、マッチョ系にしか興味がないみたいなので、彼に興味を
持っていないという珍しい少数派です。
ガブリエル様も彼ほどではありませんが、かなりな人気を誇っておられ、
テンちぇるちゃんにはよく解らないのですが
「ガブリエル様に、冷ややかに見下されたい」
というコアなファンもいるらしいです。
ガブリエル様の事はさておき、そんな天使がなぜに自分の前に
立っているのか。
彼の背中で折りたたまれている6枚の翼が彼の立場をなにより強く物語っています。
数多の大天使はおろか、全ての天使を束ね、唯一6枚の翼を持つ
「大天使長 ミカエル」その方がそこにおられたのです。
「ヒョッ」
短く息を吸い込んだテンちぇるちゃんの身体が傾いていきます。
自分の許容量を超えた衝撃を受けた場合、自己保存のために意識を手放すというのは
天使といえども同じなのです。
ですが、テンちぇるちゃんが倒れ伏すことはありませんでした。
ガブリエルさんが彼女を優しく抱えたのです。
そしてこう言ったのでした。
「まさかミカエル様や私をこんな所に立たせたまま気を失うつもりでは
 ありませんよね。」
思わずテンちぇるちゃんは、心の中で舌打ちをしてしまいました。
ウインディーネばりの切れのよい舌打ちでしたが、その音を耳で聞くことが
できたのはなぜでしょう。
そして、ガブリエルさんのこめかみに、青筋が浮かび上がってきたのは
なぜなのでしょう。

(CMキャッチ)
「テンちぇるちゃん」「テンちぇるちゃ〜ん」「テンちぇるちゃぁ〜ん」
「ハァ〜イ、テテンチェルチェル、テテンチェル〜♪」

「ほっほっほっ、では天使様の視察にこられたということでございますかな。
「はい、なかなかこちらほどの遠方の国に回す担当者がおらず、私のように
 無駄に地位を得てしまった者には暇があると仕事を押し付けられてしまいまして。」
「いやいや、何をおっしゃいますのじゃ、ミカエル様とガブリエル様でしたら、
 ワシのような坊主でもお名前を聞いたことがございますでな。
 そのようなお方とお会いできますとは、よい冥土の土産となりますのじゃ。」
ハッハッハッと楽しげな笑い声を上げる二人は意外と気が合うようです。
その時、フスマを開けて一人の小坊主さんが入ってきました。
恥ずかしがりやさんなのでしょうか、
「粗茶でございます・・・。」
と小さな声で言い、ずっと俯いたままそれぞれの前にお茶とお茶請けを置いていきます。
ミカエルさんがお礼の言葉をかけようと小坊主の方を見ると、小坊主は
ニヤリとした笑みを浮かべ、彼を見上げてきました。
その顔には額に大きな目がひとつしかなく、彼がどんな驚きの顔をするのか
楽しみでしかたのないという表情をしていたのです。
しかし、ミカエルさんは驚くどころか視線を外すこともなく、小坊主の目を
見つめると、微笑みを浮かべ言ったのです。
「おや、とても美しい瞳をしておられますね。」
すると、大きな一つ目をさらに大きく見開いた小坊主の顔がみるみるうちに
赤くなり、頭のてっぺんまで真っ赤にすると、お盆で顔を隠し、一目散に部屋から
駆け出していってしまったのでした。
どうやら小坊主でも、女の子だったようです。
ガブリエルさんが呆れたように言いました。
「ミカエル様、あのような者をおからかいになられては。」
そう言われた彼は、キョトンとした顔になると、
「本当に美しい瞳をされていたのだよ、ガブリエルは見ていなかったのかい?。」
和尚の笑い声が響きました。
「これは申し訳ございませぬ、あれら妖は人を驚かせるのが仕事のようなものでしてな、
 それ以上の事はいたしませんので、どうぞ許してやって頂けませぬかな。
 それより、お二人ともどうぞ足を崩してくだされ、そのように座布団から浮いておられましては
 お疲れになりますでございましょう。」
今度はミカエルさんの笑い声が上がりました。
「見抜かれていましたか。
 何度か練習をしてはみましたものの、5分ともたず足が痺れてしまいまして、
 形ばかりでもと、少し身体を浮かせてみたのですが、いやはやみっともない姿をお見せいたしました。」
「あっ、ずっる〜いっ!。」
すかさずテンちぇるちゃんからシュプレヒコールが上がりましたが、
ガブリエルさんの一睨みで撃墜されました。
「では、いつまでも拙僧が居ましてもお邪魔となりましょう。
 天使様とのお話には、どうぞこの部屋をお使いくだされ。
 これ、そこの妖達も、いつまでも覗いて邪魔をするでない。」
途端に、パタパタドタドタと部屋の周囲から足音が遠ざかっていきました。

(CMキャッチ)
「テンちぇるちゃん」「テンちぇるちゃ〜ん」「テンちぇるちゃぁ〜ん」
「ハァ〜イ、テテンチェルチェル、テテンチェル〜♪」

 晴れ渡った青空を二体の天使が飛んでいます。
一体は6枚の翼を大きく広げ、もう一体は4枚の翼を広げています。
無言で飛び続けた二体でしたが、4枚翼の天使が先を行く天使に声をかけました。
「ミカエル様、いかがでございましたでしょう。」
チラッと後ろを飛ぶガブリエルを見たミカエルが、重い溜息をつきました。
「わからんな、なぜ君ほどの天使があんな見習い以下の者に肩入れをするのかが。
 確かに授業とはいえ、男爵(Baron)級、侯爵(Marquess)級を次々と呼び出せたことは
 一目置くに値するが、これまで居なかったわけでもあるまい。
 君も卒業前とはいえ、水の伯爵(Earl)級のミュージー・ポーと契約を結んだのではなかったかな。
 彼女も今では侯爵(Marquess)となっていたと思うが。
 なにより、あの見習いは風の精霊とは多くの契約を結んでいるが、火と水は
 下級精霊が一体ずつ、地の精霊に至っては未だに契約を結べていないではないか。 
 あの時に男爵級をかなり怒らせてしまったからな、彼らもドレイクに従っている
 わけでもあるまいが、地の精霊としてのプライドが許さないのだろう。
 まぁ、あの見習い程度の力を凌駕する者なら、幾らでもいるだろう。」
黙って彼の話を聞いていたガブリエルは、少しの沈黙の後、ようやくと
話し始めたのでした。
「彼女がドレイクを呼び出したときに、私はその場にいて、その一部始終を見ていました。」
ミカエルが、続けるようにとチラッと彼女に目をやります。
「果たして何体の天使が気づいていたのか、彼女はドレイク以外呼び出してはいないのです。
 千体に及ぶ風の精霊達も、あのガラリアさえもです。」
ミカエルが初めてちゃんと顔を向けました。
「どういう事なのかね。
 あの見習いが契約の授業で男爵、侯爵、そして千体余りの精霊を呼び出したと
 聞いているのだが、報告が間違っていたとでも。」
ついにミカエルが空中で立ち止まり、同じく立ち止まったガブリエルと
向かい合いました。
「どうなっている、そのような報告は君からも他の者からも聞いてはいない。
 まさか私を謀ったわけでもあるまい。」
彼女は辛そうな表情を一瞬で消し、淡々と話し始めたのです。
「あの時、ドレイクが消えた直後に風の精霊達が現れたのですが、彼女はそのための
 聖唱を行ってはいません、前に行った聖唱の効果はドレイクを呼び出した時に
 霧散していました、間違いありません。
 考えにくいことなのですが、風の精霊達、あのガラリアもが彼らの意思で彼女と
 契約を結びにきたとしか思えないのです。」
ミカエルの顔が驚きから苦渋の表情に変わるのに時間は必要ありませんでした。
「まさか、それは精霊があの見習いに従属いや、隷属することを選んだと言うのか。
 自らの存在でさえ左右されてしまうというのに、侯爵(Marquess)までもがか。
 なぜもっと早く私に伝えなかった、報告する機会は幾らもあったはず。」
彼女の表情が、さらに硬いものとなっていきました。
「申し訳ありません、あちらではどこに誰の耳があるか・・・。」
「確かに、この辺りまで来なければ、あの御老体(注3)達の長い耳が
 どこに潜んでいるか、安心はできぬな。
 もし奴らの知るところとなれば、間違いなくあの見習いぐらい簡単に
 処分されてしまうだろう。
 どれだけ奴らがルシフェルの大逆に恐れを成したかの証明に過ぎぬのだがな。」
「しかし、彼女は自分がそのような立場で契約を結んだなどとは思ってもいませんし、
 彼女の精霊に対する態度からは、あのような指示が出せるとは・・・。」
「皆まで言うな、今日の彼女の態度を見ていれば判る話だ。
 自らが精霊達の生殺与奪権を握っているなどと、夢にも思ってはいまい。」
両者がその場で浮遊し、それぞれが沈黙を守った後、終ぞミカエルが心を決めたようです。
「よかろう、それならあの見習いをむざむざと奴らの贄とするのも業腹だな。
 それにしても、精霊達に自ら契約に現れる者が出るとは。
 面白いが、頭の痛い事だ。
 もし、この件が明るみになれば、よもやとは思うが天使界が再び二分される原因に
 なるやもしれん。
 うむ、よかろう、君が彼女の後見になれるよう手を回しておこう。
 ただ、あまり表立って動かぬよう気をつけてくれ。
 だがしかし、あのような授業という公然の場で行われた事に気づかぬものなのか。
 少なくとも君が気づいたということは、他に気づいた者がいても不思議とは思わないのだがね。」
「きっと、私以外にも気づいた者はいたと思われます、ですが、公然の場、
 授業という学業の場であったことが、秘密たらしめたのでありましょう。」
「ふむ、厄介ごとの渦中に足を踏み入れたくなかったのか。
 それとも彼女を守ってやりたいと思ったのであればよいのだが、君のようにな。」
一応の結論に達したと判断したのか、二体の天使は再び飛び始めたのですが、
ミカエルが思い出したように語りかけてきました。
「ならば彼女にはいきなりの訪問に驚かせてしまい悪いことをしたな。
 詫びというわけではないが、私の飼っているヘラクレスオオカブト(注4)を
 贈っておくとしよう。
 あれを貰って喜ばぬ者など考えられないからね。」
ガブリエルさんの表情が物凄く冷めたものとなりましたことに、彼は気づけませんでした。
「それは、その・・・。」
なにかを言い澱んだ彼女に、彼はチラリと視線を送りました。
「解っている、君の分もちゃんと用意するよ。
 フフッ、私とて、そのぐらいの気遣いはできる男さ。」
「あの・・・、そうではなく・・・、いえ、ありがとうございます。」
諦念という言葉は今の彼女のためにあるのかも知れません。
そして彼らの姿は、遠く西の空に消えていったのでした。

 後日、テンちぇるちゃんからキョウちゃんに特急便で荷物が届きました。
添えられていた手紙には
「ミカエル様から、私が世界の果てでがんばっているので、特別にプレゼントを戴きました。
 私より、キョウちゃんの方が喜んでくれると思いましたので、送ります。
 がんばって   ください。」
がんばっての後に文字を消した跡のような間(注5)が空いていましたことが
少し気になりながらも箱を開けてみると、ミカエル様直筆のサイン入りブロマイドのセットの他に、
もう一つガサガサと音の聞こえる大きな箱が入っていたのでした(注6)。

◎知らなくても困らないおまけの設定
「ルシフェルの大逆」
 かつて大天使長にはルシフェルという天使が任じられていました。
7枚の翼を持ち、最も神に近い天使と言われていたのですが、その力に慢心し
彼に従う天使と悪魔の軍勢を率いて神に対して反乱を起こしたと伝えられています。
ルシフェルの天使を遥かに凌駕した力と、それまで友人、知り合いだった天使と
戦うこととなった戸惑い、天使にない特殊な力を使う悪魔、なにより
ルシフェルに従属した精霊達の自己の存在の消滅さえ厭わない攻撃に天使の軍勢は
総崩れとなりはしたものの、さらに現れた神々の軍勢の前に抗うこと敵わず、
彼の反乱は鎮圧されたのでした。
ただ、神々の力を持ってしてもルシフェルを消滅させるに至らず、生き残った
反乱天使、悪魔ともども冥界(魔界)に封印されるに留まったのでした。
後日、ルシフェルの名を剥奪された彼は、冥界(魔界)にて
悪魔王「サタン」となったのです。
正史においてはこのように記されてはいるものの、幾ら心酔していたとはいえ、
天使や精霊までもが反乱に組した事実に納得のいく解釈が行えておらず
巷では隠された事実があるのではという噂が絶えることがありませんが、それを
証明する事実もまた無く、なにかの折には必ず論争の種になっているのです。

注1、アリ地獄釣り : ウスバカゲロウの幼虫で、クワガタムシのような
大顎を持ち、家の床下、縁の下などの乾いた地面にロート型の巣を作り、アリなどの
昆虫を捕食する虫。
その巣の中に錘を垂らし、振動を与えると、巣に落ちた虫と勘違いして
取り付いたところを釣り上げる遊び。
筆者はしたことがありませんので、本編での釣り描写は適当でごめんなさい。
注2、ブロマイド : 昭和の頃、アイドル歌手を中心に生写真?が
販売されていたそうです。
ブロマイドの売り上げがそのまま人気のバロメーターとなっていたようで、
専門店もあるほどでしたが、現在ではブロマイド自体が売られていますのかどうか
定かではありません。
同じ頃、仮面ライダーやプロ野球カードなるものもあったようですが、
ブロマイドとは違うものだと思います。
注3、御老体 : ルシフェルの大逆の時に神側に立って戦った大・上級天使の生き残り。
闘いでの物理的・心的外傷のため、天使の仕事からは引退しているが
再び大逆のような事態が起こらないようあらゆる所に情報網を巡らしている。
特に精霊の自暴自棄とも思える攻撃は、ルシフェルからの強制命令だと考えており、
以降に精霊から天使への契約には病的な反応を示すようになっている。
注4、ヘラクレスオオカブト : 中南米に生息する世界最大級のカブトムシ。
最大のものでは体長18センチにまでなるそうです。
姿は見たことがありませんので、よくわからないです。
注5、文字を消した後のような間 : 多分「育てて」ではないかと思われます。
テンちぇるちゃんも、さすがに気がひけたので消したのでしょう。
注6、ガサガサと音の聞こえる大きな箱が入っていたのでした : 
後年、大天使となったキョウエルの使役する最強の生物「ヘラクレス」
爆誕の瞬間です。
体長10m、言葉を理解し、その角を一振りすれば山を穿ち、飛べばその衝撃波で
海を割り、咆哮を轟かせればハリケーンが消滅し、その甲殻は火山の噴火の
直撃にも耐えると言われています。
ヘラクレスの上に腰かけ、穏やかな微笑みで星を見上げる大天使キョウエルの姿は
時代を問わず、多くの絵画の題材となっています。
(2020.9 by HI)

◆◆◆

ブロマイド・・私の田舎の地方都市の中でもさらに町外れにあったいとこの住む町で、
子供だけで繰り出したお祭りの露店に、マッチやトシちゃんのそれが並んでいたのを
こわごわと眺めたのを思い出します。(私は気の小さい子だったので)
そんなザ・昭和の世界と大天使様、星の名を持つ堕天使がリンク、
深い宗教観に根ざす日本の名作中の名作が虫繋がり?でギリシャ神話にリンク、
私たちの見えない世界も果てしなく広がりながらつながるのを感じます。
「本文以上に裏設定と注釈が面白くなってしまいましたが、ガブリエル様のクールビューティーさと、
ミカエル様の仕事はできるけど斜め上を行くポンコツさが出ていればいいと思いますのですぅ」
(HIちゃんご寄稿時のお言葉より抜粋)
まさに、物語も人(天使)の心も、オモテも裏もおもしろくて奥が深いです。
そしてチャーミングなキャラそのままにどんどんかっこよくなっていく
我らがテンちぇるちゃんから目が離せません・・
キョウエルちゃんからも、瞳の綺麗な小坊主さんも!
HIちゃん、いつもありがとうございます。


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